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SS 1030 生き別れ [携帯放送1919チャンネル]

今更、船から飛び降り、戻るわけにはいかない・・ 戻れない・・ 親子の全てを断ち切った! 木の葉のような橋渡船の父に、最後の別れを一言。 「許してくれ! 息子は亡き者と、諦めてくれ・・!」 心底絞り出す言葉は、声になりません。 千切れんばかりに手を振り、今後の無事を、ひたすら願うしかありませんでした。
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SS 1029 画像 [携帯放送1919チャンネル]

2017-06-19T16:45:07.JPG別れ船・・

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SS 1028 独学 [携帯放送1919チャンネル]

この先、妹は兄の帰りを待ち切れなかった。 東京がどんなに厳しい戦場なのかつゆ知らず、松葉杖を突いて着の身着のまま上京。 地を這う生活苦の中、独学にて縫製国家試験特級を取得、東京都の身障者教育に身を捧げる事になる。
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SS 1027 夕陽の涙 [携帯放送1919チャンネル]

大海原に落とす夕陽の涙は、今生の別れを惜しんでいるのだろうか・・ 無常にも二度目の汽笛は、空と海へ途切れ、鳴り渡るドラの音に、一段と激しく身を揺するエンジン。 溢れる涙に、視界はこぼれ落ちて行きます。 未練の糸なのだろうか、夕日に赤く染まった海面に尾を引く、白い航跡。 橋渡船の父と、本船の少年は、縋る甲斐なく引き離され、大きな人生の別れをするのでした。
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SS 1026 蛍の光 [携帯放送1919チャンネル]

妹は棒切れを突いて、ピコタン,ピコタン追いかけ、「兄ちゃん、行かないで・・」と泣きじゃくる。 「兄ちゃん、必ず帰るから」と諭し、心を鬼にする。 年老いた両親と、体の不自由な妹を島に残し、旅立つ息子は、親不幸なのだろうか・ 10歳の遊び盛りに、足の不自由な妹の遊び相手は、誰がするのだろうか・・ いつまでも、いつまでも、元気に暮らして欲しい・・・ 夕陽は周り一面を真っ赤に染め、西の海へ深々と物悲しく沈んでいきます。 なびく髪、風さえも赤く染められ、心に滲み渡る蛍の光。
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SS 1025 これが最後 [携帯放送1919チャンネル]

石垣島の港は遠浅のため、沖縄本島行きの大型船が港に入れません。 7、8隻の橋渡船が、沖の本船まで荷物や人を運び、最後に見送り人を運びます。 本船は、一度目の汽笛でゆっくりと走り出し、見送り船は、別れを惜しむかのように、周りを追走。 覚悟の上とはいえ、親との生き別れは、これが最後で、2度と会う事が出来ないのかと思うと、あまりにも切なく、身を引き裂かれる程辛いものがあります。
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SS 1024 拗ね顔 [携帯放送1919チャンネル]

杯を交わす時、父は決して、目を合わせまい、としていました。 拗ねているように、視線を外し、何かを必死で耐えている様子。 多分、視線が合えば、上京は取りやめなさい、と、口から出るのを耐えていたのでしょう。 両親にとって、一番辛い時だったのかもしれません。 少年は、心から寂しがる両親の横顔を見せつけられ、白髪の様子や、禿げ具合、シワの数までしっかりと瞼に焼き付け、刻々と迫る別れが辛く、この世で一番長い夜を過ごしました。
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SS 1023 別れの杯 [携帯放送1919チャンネル]

空路が開かれた今では想像出来ませんが、当時、上京するには、黒島から朝一便の船で石垣島まで行き、夕方、石垣を出港し、翌日の昼頃那覇港着、夕方那覇港を出、東京の晴海埠頭まで、3泊4日、便数も週2便しかなく更にパスポート持参での上京。 もし、危篤の知らせがあったとしても、帰郷するには最低一週間は必要。 ニキビだらけのあどけない顔の少年ながら、決して死に水は取れないだろうと、覚悟しました。 両親を前に、生き別れの杯を交わさせてくれと頼み、別れの杯を交わしての旅立ちとなりました。
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SS 1022 一家離散 [携帯放送1919チャンネル]

経済的、精神的にもまだ暗いトンネルの中、上京は、誰が考えても無理な相談。 心の内を父に相談すると、「自分の思った通りやればいい・・」と一言。 しかし周りは大反対、年老いた両親と、足の悪い妹を島に残し、なんで東京に出るんだ! せめて、沖縄本島位にしたらどうだ・・ 無口な父は、ただ黙っているだけ・・ 人間は、一度不幸のどん底に落ちると後がなく、怖いものがなくなるのだろうか・・ これから先、一家は離散、それぞれの幸せをコツコツと築き上げて行ったのです。
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SS 1021 決心 [携帯放送1919チャンネル]

11歳の多感な少年は、この大きな試練に、家族が押しつぶされるのではないかと不安になり、子供心にも明るく振る舞う。 無邪気な妹の遊び相手をするよう、心掛けたのでした。 そのうち小児マヒが、伝染病でない事が分かり、明るさを取り戻して行ったのです。 10年後の昭和38年、ひかるは、高校卒業と同時に、東京へ出、魔法の箱、テレビを解明しようと、決心。
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SS 1020 小さな寝息 [携帯放送1919チャンネル]

米国の統治下、勿論、保険制度もなく、手術や渡航滞在費など、細々と暮らす一家にとって、とてつもない費用。 遊び疲れたのだろうか、妹は膝に抱かれ、小さな寝息、ランプの薄灯かりに映し出される、疲れ切った父の横顔は、藁をもつかむ眼差し。 普段ですら無口な父は、更に無口になって行きました。
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SS 1019 隔離状態 [携帯放送1919チャンネル]

島では見た事も、聞いた事もない、初めての発病。小児マヒに関する知識がなく、周りの子供達に伝染するのではないかと見られ、精神的には、完全に隔離状態。 母は、物の怪に取り憑かれたように、祈祷師を回り、西の方角にある木が災いしている、と聞けば必死で切り押す。 父は、直さなければ、手術をしなければ、金を作らなければ、と毎晩、財布を広げ、わずかばかりの、増えもしない金を数えるばかり。
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SS 1018 試練 [携帯放送1919チャンネル]

脈をとったまま、水!、水をくれ、との催促に、冷たい井戸水を汲み続けました。 母は、無我夢中で冷やし続け、その甲斐あったのか、数時間続いた引き付けは、徐々に治まって行きましたが、あまりにも高熱が続いたせいなのか、後遺症が残り、片方の足が完全に、マイしてしまいました。 小児マヒ、にかかったのです。 この嵐のような出来事が、これから先、一家に試練を背負わせる事となったのです。
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SS 1017 只事でない形相 [携帯放送1919チャンネル]

解熱剤なるもの、薬と呼べるものは何一つなく、助けを求めるにも近所には、誰一人いません。 母は、知恵熱やカゼ、普通の発熱でない事を咄嗟に感じ取っていたのでしょう。 取り乱し、「助けて欲しい!」 と叫ぶ、その只事でない形相に、命に危険が迫っている事が感じられます。 次々と他界した子供達の事が、脳裏をよぎっているのだろうか。
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SS 1016 小児麻痺 [携帯放送1919チャンネル]

ひかる11歳、妹が3歳の、昭和29年夏。 父は、漁へ出かけ、母は野良仕事、やっと走りまわれるようになった、妹の遊び相手をしていると、元気がなくなり、そのうちグッタリ倒れてしまいました。 急いで、母を呼び戻した頃には、泣き声一つ出す力さえなく、痙攣の合間に、断続的にひきつけを起こす程の異常な高熱。 40度以上の高熱が続いているのだろうか。 火照った体は、風呂上がり状で、体内はそれ以上の高温でしょう。
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