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a510 お茶の間


ひかるがメディア先進国アメリカをギャフンといわせたい。そして出来たと自負。
クイズやワイドショーなどスタジオ中心時、ロケの映像を全国のお茶の間へ流せ
ばどんな変化があるのか、テレビがどう変わるのか、好奇心の延長線だったので
す。
ランプで育ったひかるは入社早々テレビ局の心臓部テレシネマスター職場へ配属
されるが、そこは送信システム、膨大な送出機材、放送直前の素材管理、30局
ローカル制御、衛星回線制御システムなど情報の最先端。
高校は地元に理系がないため商業コース出、目を見張るどころではない。
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a509 絶やすべからず!


二十代、それは人生のチャージをする時期です。タケシも泣かず飛ばずの二十代
があったし、テリーも書いた通りで、ひかるも同期にズルズル置いてけぼり。ち
ょっとしたチャンスで豹変していったのである。
経験からして、人生で一番大事なのは好奇心ではないかと思います。よく夢を諦
めない・・なんて言われますが、むしろ何でもかんでも好奇心をもってあの手こ
の手でトライし続ける事が大事だ。死ぬまで好奇心を絶やすな!
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a508 後へは引けない


おそらく、このブログを見ている人でひかるより恵まれない境遇にある人は皆無
でしょう。かすかなチャンスを確実に生かす。後へは引けない境遇が効を奏した
といえるでしょう。
そう、島育ちの子供は15才で親の傘下を出、親離れする。親の庇護から外れる
という事は、辛酸を舐める事になるが、この人生の第一関門をどう乗り切るかが
その先を大きく左右する。
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a507 思った通りやればいい


昼間は重労働のため、勉強もままならない。入社時、専門知識は同期の連中に比
べれば雲泥の差で、かなり出遅れていたため、情報最先端のシステムは驚きの連
続でしたが、好奇心の固まりのひかるにとって最高の場でした。
父の言った、思った通りやればいい、これは生涯ひかるの座右の銘、となった。
進路や会社選び、仕事の上、結婚など、誰にも相談することなく、存分に思った
通りを貫いた。
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a57 願望


毎日が、ひもじい思いをし、夢にまで食べ物が出てくる上京当時の出来事。
一度でいいから、腹一杯ご飯を食べてみたい、という願望を叶えるべく、アルバ
イトのお金が初めて入った時、思いっ切り食べようと心に決め、外食をすること
にしました。
子供の頃から、外食の経験がほとんどなく、今日は腹一杯食べられる。自分の稼
いだお金で、思いっ切り食べよう、という期待に胸をはずませ、店に入りました。
日曜日の昼時で、ほぼ満席の状況。
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a506 カールブッセ


舳先へ立つひかるの視界に、巨大な東京、己の人生を存分にぶつけられる大舞台
へたどり着いたのである。
人口数百人の島から五年後、一千万人の東京、そして放送界入り、全国のお茶
間、一億人を視野に活躍できる場を確保できたのである。
後は「これしかない!」
やるしかない、だった。
石垣島の高校に理系コースはなく、ひかるは商業コースで簿記やそろばんを習い、
上京後たった二年間夜学の理系専門コースを出、局入り。
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a505 発酵現象


ひかるはいつもあのカールブッセの、山の彼方の空遠く・幸い人の住むとい
う・・を口ずさんでいたが、ひかるにとって、それは山ではなく海だった。
人口数百人の島から五万人の大都会、映画館のある石垣島。海の彼方の空遠
く・・・
そして高校三年間、ひかるの脳内夢酵母は爆発的な発酵現象を起こし、沖縄本島
を飛び越し、遙か海の彼方の空遠く、幸い人の住むという・・・東京があるとい
う・・紙芝居ではない、映画が出るという魔法の箱、テレビがあるととい
う・・・
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a504 中退を決意


二年終了で中退を決意し島に戻ると、今度は別の叔母さんが、もう少しだ、もっ
たいない。私が預かると申し出、やっとの思いで卒業
当然地元で働き親や周りに恩返しをすべきだが、どうしてもあの五コマ漫画の映
画が見られるテレビが忘れられない。
父に上京を打ち明けると、思った通りやればいい、と絞り出すように言ったので
ある。
わずかばかりの、戻るに戻れない金。親や古里を捨て、本土玉砕を覚悟した特攻
精神の原点。這いずっても引かない脳内プログラミングが出来てしまったのであ
る。
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a503 高校


当然石垣島での下宿、高校を出ることなどあり得ないことだ。石垣島にいる父の
弟、叔父が乗り込み、産まれた子が栄養が行き届かず三人も他界して、やっと出
来た男の子だ、せめて高校くらいは出さないとあまりにもかわいそうだよ、と迫
るが父は貝になるしかない。
とうとうひかるを叔父が引き取り、高校を出す事になり、一年おくれで入学。し
かし二年も終わる頃、叔父と叔母の言い争いがひかるの耳に入る。
叔父はご用聞きの便利屋家業。五人もの子沢山が、自分の子供すら育てられない
くせに他人の子供まで預かる甲斐性なしが・と。
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a502 カタツムリ


ひかる中学卒業時、小児麻痺の妹は7才、どん底生活だった。その日の食べ物す
ら確保できない状況。
忘れようにも忘れられない食べ物、それはカタツムリである。
食べ物も底をつき、何もない。雨が降ると石垣の合間から小さなカタツムリが這
い出る。それを沸かして食べるのである。勿論醤油や味噌もない。ぬるぬるし、
からごとジャリジャリたべるのである。母は痩せこけ栄養失調状態だが、必死に
ひかるの命をつないだのである。
カタツムリが高級料理らしいが、ひかるにとってはゾッとする食べ物、生涯口に
することはないでしょう。
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a501 晩酌


TD経験大御所から・B君は君が採用したひかる組だろう、どこを見込んで採用
した、と聞かれたが、こちらが質問したいところです、と答えた。
勿論、甲子園経験A君も同期に負けじと、現在でも切磋琢磨中である。
今宵も後輩たちの成長ぶりをテレビで楽しみ、晩酌するひかるである。
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a500 10年早い!


当然大ベテランは自分がTD席へ座る番。10年早い! と怒鳴りつけ、足を引
っ張りそうなものだが、どういう訳かB君にはトチらせたくない、という雰囲気
を持ってホローしたくなる性格だ。
大先輩、三カメさん、頂きました、あんがとさん・・
およよ、五カメさん監督キープ・・おいしい画どす、OK。なんて、京弁丸だし。
怒号飛び交う車内の雰囲気が、がらりと変わっていたのだ。
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a499 TDの席


野球中継の技術総責任者は、中継車の中でカメラやVTR、音声や照明等に指示
を出し、画像を瞬時に切り替えるテクニカルディレクター(TD)である。
このTDは12台のカメラ、6台のスローなど18画面、音響や照明など、イン
ターカムで繋がっており、適宜に指示、かなり経験を積んだ15年、20年選手
が通常は座る。
まさかの出来事だが、このB君、五年を待たずしてTDの席へ座っていたのであ
る。
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a498 リンダ節


新人は2年間、ドラマ音楽、報道取材やワイドショーなど、あらゆる番組の下
働きをさせ、顔つなぎや適正を見極め、本人の希望も採り入れ、方向付けをし、
先輩に預け育て上げていく。
一年が経った頃、つかみどころのないB君をどのジャンルへ当てるか悩んでいた。
しゃべりや対応のしかた、ふにゃふにゃに見え、どうやっていいのか、リンダ節、
こまっちゃうな〜と歌いたくなる心境、が本人から野球をやらせて欲しいと言っ
てきたので、とりあえずやらせてみることにした。
ところがこの男、とんでもない事をしでかすのであった。
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a497 京弁


サッカー番組の台頭は著しいものがあったが、当面野球は続くだろう、と考え野
球番組メンバー採用を優先させ、筆記試験、書類選考から面接へと進んだ。
その中に甲子園出場者がいたので当確にしたA君、もう一人どうしても拍子抜け
するB君がいた。
京都出身で、名前も公家が使う名前、応答が京都弁でくる。スポーツ系でもなく
文系でもない。なに系にもあてはまらないが、ドラマカメラマンでもやらせば
使えるかな、と採用を決める。
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a496 新人採用に乗り出す


ひかるは3年で方式問題、編集問題をクリアー、5年後にはアメリカ大リーグ
お手本にするスローVTRを多用した番組をつくりあげたのだ。
全国のお茶の間が明るくなった事はいうまでもない。チャンネルや電波の系列な
ど、小さすぎる、コタツでテレビを楽しむ全国の人々を常に意識しろ、が口癖。
ひかるの上司は慶応大卒の切れ者と言われた人物だったが、ひかるの事は、タイ
二ン(大人)タイ二ンと呼び、全幅の信頼をおいていた。
未来の番組作りを託せる社員を採用しよう、とひかるは新人採用に乗り出す。
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