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a330 パノラマ画面


この海は、息子や娘のいる、東京まで続いているんだ、といつまでも浜に佇み、
語りかけていたとの事。
弔問客も途絶えた真夜中の三時、父の愛した海が懐かしく、浜へ出てみました。
南国の夜空に、黙黒の大海原。
千古変わらぬ、さざ波の音。遥か彼方より漂う、潮の香りを体一杯吸い込み、別
れの杯を交した、父の事を思い浮かべた時、満天の夜空に、白い歯でニッコリ笑
う、日焼けした父の顔が、超特大パノラマ画面で映し出されました。
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a328 画像

a116.5父.JPG
親父〜・・

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a327 親子の絆


振り返ってみると、中学時代は、一家を襲った試練に、両親が必死で立ち向かい、
高校は石垣島での下宿生活、卒業と同時に上京
親子が一緒に生活する期間が、余りにも少なかったのでした。
父は島を離れられず、息子は、夢を追い続けるしかなく、別々の道を歩むしかな
かった。
親子の絆のあり方、人生は、これしかなかった、と自分に言い聞かせるしかあり
ませんでした。
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a326 納骨


お互い死に水は取れないと、覚悟の上とは言え、何の反応もしなくなった父の姿
に、「親不孝な息子だったのか」、最後に一言答えて欲しかった。
15時間も経過しており、ゆっくり対面している間もありません。
喪主としての段取りや、弔問客との応対、時は目まぐるしく過ぎ、仏事での貸切
船や船頭への式たり等、長老の皆さんに教わり、石垣島から黒島の墓へ無事納骨。
島の家で、位牌となった父と二人っ切りになった時、親子でありながら、生涯に
交わした会話の、余りにも少なかった事を、しみじみ感じさせられました。
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a325 危篤


昭和63年4月、父危篤の報に、急ぎ帰郷。
しかし、父と会えたのは、息を引き取ってから、既に15時間が過ぎていました。
ひかるがきっとテレビを運んで来ると、ひかるの作ったテレビが見られる日を、
生涯の楽しみにしていた父は、突然心筋梗塞に襲われ、79歳で帰らぬ人となり
ました。
ひとつ屋根の下で住みたかったのに・・
許してくれ!
少年の夢を見守ってくれて、
有難う・・
有難う・・
冷たくなった父を抱きしめ、何度も何度も呟きました。
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a324 巡り合わせ


人間として生まれ、月や星と無関係に生きるのは、大きな不幸ではないでしょう
か。
星空に縁遠い都会の子供達、星の巡り合わせ、赤い糸で結ばれた親子の絆のあり
方、子守歌代わりに、教えてやる必要があるのではないか。
人は、豊かな自然に触れる時、豊かな心が培われて行くのではないだろうか。
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a323 一条の光


その昔、日本全国、電気や車はなく、空は澄み、おぼろげな星あかりの世界は、
各地で感じられ、人々の心に、大きな影響を与え、情感豊かな人間味が育まれた
のではないだろうか。
あなたは、愛する人の瞳に映える星を、見た事がありますか?
人生、昼間と夜は半分っこ、太陽の下で、星は輝きません。
また、我々の人生、陽のあたる時ばっかりとは限りません。
悩みや悲しみに光を求め、迷う時、星は一条の光を与えてくれる事でしょう。
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a322 キラキラ星等


子供の頃、清らかな心の、まん丸い満月のような、欠ける所のない、立派な人間
になりなさい、という意味の子守歌を聞き、満月を眺め育ちました。
星空を眺め、星の数は数えようと思えば、読めるけど、親の愛は、数えられない、
という意味の歌など、今でもこの地方では、唄い続けられています。
誰もが思い出す、七夕祭りの彦星、織姫物語。
かぐや姫物語、月の砂漠の歌、幼い頃、歌い踊った、モーツァルト作曲のキラキ
ラ星等、月や星を眺め、幻想的で、おぼろげな世界。
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a321 情操


壮大な夜空を南北に割り、宝石をちりばめた、橋のない川、天の川。
年に一度、川を渡る、男女の逢瀬があると言う。
川幅は、何光年にも及ぶ事でしょう。
数え切れない星の数、砂粒一つが地球に値すると言うのですから、昔の人は、と
てつもない、夢を描いたものだと感心させられます。
そして、昼間の原色の世界から、星座を眺め、エキゾチックな潮騒の淡い幻想に
浸る時、心が穏やかに澄んで行くのが感じられますが、この大きな心の振幅の中
から、人間としての情操が芽生え、育まれて行くのではないだろうか。
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a320 島の夜


白いうなじにそよぐ黒髪は、一段と強調され、目元や鼻筋の陰影、微妙な濃淡の
唇からこぼれる、白い歯。
かすかに現れる、モナリザの微笑など、今まで感じた事のない、エキゾチックな
墨の世界が発見出来るかと思います。
この星明かりの世界、不思議と身も心も、和ませてくれ、繊細な部分や微妙な変
化を見逃す事なく、再現してくれますが、なぜだろうか。
おそらく、視界に眩しく光る物がなく、猫の瞳孔が全開する如く、人間の目や心
が、共に見開かれるのためではないだろうか。
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a319 モノクロトーン


しかし、この夜景は、昼間と様相を一変させてくれます。
星々の光は反射光で、影や色を再現する程強くなく、明るくない。闇でもない。
淡い幻想的な、ふわっと浮く明るさのモノクロトーン。
青白い、冷たく透き通る光が、温暖な気候には、見事に溶け合います。
真っ赤なハイビスカスや、エメラルドの海など、原色の世界から色が消え、影の
ない、おぼろげな星明かり。
潮風は、体を通り抜け、草花は、夜風になびき、砂浜にたむろする恋人達は、影
絵そのもの。
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a318 防風林


太平洋に浮かぶサンゴ礁の島は、リーフに打ち寄せる白いさざ波と、砂浜で、二
重に縁どられ、家々は、四角い石垣と、鮮やかな緑の防風林にかこまれ、サンサ
ンと降り注ぐ光と、鮮やかな原色の中、大地を踏み鳴らし、指笛を吹き、拳を握
りしめ、力強く、激しい陽気な歌と踊りの世界に、汗あり、人々は、嬉々として、
活気づいております。
そして汗ばんだ体を、夕凪が心地よく洗い流していく頃、待ちかねたように現れ
る一番星。
静寂の夜も深まり、ひときわ心を揺する、潮騒の音。
見上げると、満天に光り輝く星空。
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a317 波瀾万丈


沖縄は戦前、戦中、戦後と、波乱万丈の歴史を歩んで来ました。
また、沖縄出身者も、一人として恵まれた人はいなかったはずで、上京して、そ
れぞれの人生模様を体験したかと思います。
やはり人間は、ハングリー精神が大事で、ふるさとへ戻るに戻れない。
前へ行くしかない!
この気持ちが、強い人間に鍛えあげて行くのだろうか。
古里は、辛き人生、慰める。
古里は、いつも優しき、母の顔。
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a316 師の言葉


早大生はもとより、我々も、師の言葉を、座右の銘とし、後世まで引き継いで行
きたいものです。
また、政財界にも多くの知人を持ち、当時の佐藤栄作総理大臣を動かし、「沖縄
の本土復帰なくして、戦後は終わらない」と言わしめ、実現。
プロ野球コミッショナーや数々の要職を歴任。
更に、沖縄海洋博や、復帰後の復興に情熱を傾け、自ら尽力した事は、あまり知
られておりません。
他にも、カンムリワシと呼ばれ、全国を沸かせた、元ボクシング世界チャンピオ
ンの具志堅用高君も、この地区の誇るべき出身者。
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730 明子の家


自分の生まれ育った集落にさしかかったが、集落へ入ろうとはせず、そのまま通
り過ごした。
四、五百メートルくらい行くと、そこは明子と出会った小さな森だ。
昔と殆んど変わっていない、自分が草刈をしていた場所と、明子が薪拾いをして
いた所は、三十メートルくらいしか離れていなかったのだ。
ふくよかな明子の姿が脳裏をよぎる・・
なぜあの時、明子に声をかけられなかったのだろうか。今更ながら情けない。
しばらくして、昭二は、更に先へと進んだ。
そこには、明子の家があるのだ。
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